2009年12月、二酸化炭素排出量と経営コストの削減を目指して、県内の研究機関などと共同開発を進めてきたバイオマス発電プランが完成しました。
フルーツゼリーなどの製造過程で排出される「廃シロップ」を原料にバイオガスを発生させ、電力と温水のエネルギー源に活用するというシステムです。
こうしたプラントの開発は、これまで大きな負担となっていた廃シロップの排水処理費用の軽減を第一の目的にスタートし、県工業技術研究所、県環境資源協会、静岡大工学部(現在は東京工大)の協力によって行われています。
プラントは高濃度シロップの貯留槽、シロップを注ぐメタン発酵槽、発生したバイオガスの貯留槽、工場で使う電力や温水を生み出すガスエンジンなどで構成されております。
試算では年間で約400万円のエネルギーコストが削減されます。
その過程でシロップは低濃度化されるため(BOD基準で90%の有機物負荷が軽減されます)、排水処理費用も年間で約540万円減ります。
年間の二酸化炭素削減量は175.5トンにもなります。
本プラントの最大の特徴は、小型であることです。
発酵槽の容量も20㎥であり、従来のメタン発酵プラントの発酵槽500〜700㎥に比べて小さく、敷地面世紀も約80㎡と省スペース化を実現しています。
通常、発酵槽の容量が小さくなると発生するガス量も少なくなることから、ガスエンジンを常時動かす事ができませんでしたが、この問題もガスエンジンを間欠運転することで解決しました。
また、メタン発酵は微生物反応であり、原料である有機物の質が異なれば分解性も異なるため、ガスの発生効率も異なります。
有機性廃棄物には炭水化物や油などの様々な種類があり、難分解の有機物はガスの発生効率も悪いです。
本プラントは、これらの廃棄物を適切に前処理することで微生物にとって適した原料に変え、ガスの発生効率を上げる工夫をしています。
2012年には排水処理場で発生する汚泥、およびツナ罐詰製造過程で発生する煮汁、2014年には油を前処理する設備を増設しました。
現在は、メタン発酵のための繊維質の前処理方法を検討中です。
今後は、事業系および一般家庭から排出される有機性廃棄物を処理できるメタン発酵装置の開発を目指します。